今回のお題はこちら!
「貸借対照表とは その9」
前回は、「投資その他の投資」について触れてみました。
今回は、「繰延資産(くりのべしさん)」について見ていきましょう。

繰延資産
本来は費用として計上するものですが、費用によっては長期にわたって発生するものがあります。
これを、期間に分けて分配するため、資産に計上します。
「減価償却」に似ていますね。減価償却についてはこちらをご覧ください。
具体的には、
●創立費・・・会社を設立する際にかかった費用です。
定款(ていかん)を作成したり、登記するのにかかった費用ですね。
ちなみに、定款とは、会社の組織内容や活動内容、規則などを紙や電子媒体に記録したものです。
●開業費・・・会社を設立して実際に事業を始めるまでにかかった費用です。
広告の製作費や広告宣伝費などがあります。
●開発費・・・新しい技術や市場を開拓するのにかかった費用です。
市場調査費やセミナーの受講費、コンサルタントの委託費があります。
●株式交付費・・・新株発行などでかかった費用です。
株式募集のための広告費や、証券会社などの取扱手数料があります。
●社債発行費・・・社債を発行する際にかかった費用です。
例として、会社を設立するのに5億の費用が生じたとします。
これを、繰延資産として計上します。
創立費は均等に償却する場合、5年となっているので、5億を5回に分けて償却していくわけです。
5(億)÷5(年)=1(億/年)となり、
1年に1億ずつ、償却することになりますね。
繰延資産はあまり使われることのない項目なので、「こんなものか~」程度でいいかと思います。
以上が繰延資産となります。
これで、資産の部については一通り触れました。
資産は、将来会社にお金の増加をもたらすものです。
財産の一覧と勘違いしないように注意したいものですね。
例えば、資産の部に「建物」が10億円計上されていたとしても、10億円分の建物があるわけではありません。
まだ減価償却されてない金額が10億円だということです。将来、10億円以上の収益を見込んでいるということでしたね。
また、財政状況を表しているものでもあります。
調達した現金がどのような状態にあるのか示しています。
例えば、会社が事業拡大をするために、大規模な投資をしたとします。・・・販売用の建物に投資したとしましょう。
すると、現金が減り、代わりに棚卸資産が増えます。
このことから、会社は不動産に力を入れているんだな・・・。ということが解かりますね。
現実はこんな単純なものではありませんが、情報を得るための手段にはなるので、何度も繰り返し読んで、読み取れる力を身につけたいものです。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
※「貸借対照表とは」のリンクです。
その1 | その2 | その3 | その4 |
その5 | その6 | その7 | その8 |
その9 | その10 | その11 | その12 |
その13 | その14 | その15 | その16 |