今回のお題はこちら!
「貸借対照表とは その10」
前回で、「資産の部」について一通り触れることが出来ました。
この調子で「負債の部」に突入!・・・と行きたいところですが、今回は、補足説明として、流動と固定に分類される際の基準について見ていきたいと思います。
資産の部には、流動資産と固定資産があります。同様に、負債の部にも流動負債と固定負債があります。

以前、「一年基準(ワンイヤールール)」について説明しました。
おさらいしてみましょう。
一年基準とは・・・決算日から一年以内に決済される資産・負債のことです。
ちなみに、決済とは、お金などの支払いによって売買を終了することをいいます。
例えば、コンビニで「おにぎり」を買う際、レジでお金を支払います。店員さんがお金を受け取ります。これで決済が完了したことになります。
話を戻しましょう、この、一年基準を満たすものが流動性のものとして計上されます。
現金などがそうですね。
しかし、棚卸資産を見てみると、流動資産なのに1年以上在庫されているものも計上されます。
売掛金も、場合によっては支払いまで1年以上かかるものもあります。
どうして流動性として分類されるのでしょうか?
それは、「正常営業循環基準」というものに当てはまるからです。
舌を噛みそうな名前ですが、どういったものなのか見ていきましょう。
正常営業循環基準とは・・・正常な営業取引のなかで発生するものは、現金化するまでに1年以上の期間があっても、流動資産・流動負債として区分するルールです。
正常な営業取引とは、
●まず、何をするにも現金が必要です。(現金)
●収益を上げるために、商品を売ります。となると、原材料であったり商品そのものを仕入れる必要があります。(商品・原材料・買掛金・支払手形など)
●仕入れた原材料をもとに商品を作ります。また、作った商品や仕入れた商品を在庫として保管します。(棚卸資産)
●お客さんから注文が入り、売り上げがあがります。その場で現金で支払ってくれればそれで終わりなのですが、それだけとは限りません。
掛け売りや、手形の場合は現金を回収しなければなりません。(売掛金・受取手形)
と、このような一連の取引のことです。
この正常営業循環基準が最優先の基準となり、次いで一年基準が適用されます。
なので、現金化までに1年を超える棚卸資産や売掛金であっても、流動資産として計上されるわけです。
借入金や貸付金などは、正常な営業取引の中にはあてはまらないのですが、一年基準を満たすものであれば、流動性となります。短期借入金などですね。
1年を超えるものは、長期借入金として計上されます。
今回は、流動と固定を分類する際の基準を取り上げました。資産・負債はこの基準のもとに分類されているわけです。
取引に使われるものなので、まさに「動くもの・動きのあるもの」と考えると覚えやすいかもしれませんね。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
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